嗅覚障害

嗅覚障害とは

においが分からない状態をいい、その程度は、全くにおいが分からなくなった状態を無臭症や嗅覚脱失といい、感じ方が弱くなった状態を嗅覚減退、本来のにおいとは異なって感じる状態を異嗅症や嗅覚錯誤をいいます

症状

においをかぎ分ける能力は年齢や性別、体調などによっても異なります。一般的に男性よりも女性の方が良いようで、年齢では70歳を過ぎるとにおいを感じにくくなるといわれています。嗅覚障害の約半数の人は食物の味が変わる風味障害を起こします。

原因

原因としては、においを含む空気が、においを感じる粘膜に到達できない呼吸性嗅覚障害、においを感じる粘膜自体の障害による神経性嗅覚障害、二つが合併したものを混合性嗅覚障害、頭部外傷や脳腫瘍などで起こる中枢性の嗅覚障害があります。
また副鼻腔炎、鼻アレルギー、風邪や頭部外傷、鼻のなかの形態異常、中枢神経疾患が原因で嗅覚障害になったり、この他にも有機化合物、金属化合物を吸入して起こる場合や、薬物による場合もあります。
このうち風邪症候群、副鼻腔炎と、鼻アレルギーが全体の80%を占めます。
そのほかに、特に原因が思い当たらず、気がつくとニオイがわからなくなってしまっている場合は、老年性嗅覚障害や原因不明の嗅覚障害であることが多いです。先天性嗅覚障害もあり、そのような方は他の人が感じているにおいを理解することができません。
原因診断のために、最も重要なのは問診です。アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎によるものは、鼻内視鏡検査やCT検査で診断可能ですが、 それ以外は画像で異常が見つからないことが多いため、問診などから原因を探っていくほかありません。

問診の詳細

発症時期や原因、経過について確認していきます。ゆっくりと進行する嗅覚障害であれば鼻副鼻腔炎や老年性嗅覚障害が考えられます。 急に発症した場合は感冒ウィルスが考えられます。嗅覚障害がいつ発症したかで症状に悩まされている期間が分かります。

嗅覚障害は回復の見込みのある期間が長い疾患ですが、原因によっては、症状が出てから期間が長くなると治療が難しくなる場合もあります。 鼻副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎では、嗅覚が変化する場合があるのですが嗅神経自体に問題がある場合は、 変化が起こらないことが多いです。異嗅症状が出るパターンもあり、元々のニオイと違って感じたり、突然その人だけが悪臭を感じることがあります。また、異常に嗅覚が過敏になることがあり嗅神経自体が傷害されている場合に出現することが多く、精神的な要因でもみられます。

味覚障害やその他の既往歴との関係

これらとともに味覚障害についても問診します。嗅覚障害が主訴の場合、併せて味覚異常も出ていることが多く、正確には味覚障害と嗅覚障害が両方合わせて風味障害となることがほとんどです。

合わせて鼻副鼻腔炎、頭部外傷の既往歴がないかもチェックします。 その他に、基礎疾患として肝障害や悪性腫瘍、糖尿病、高血圧、てんかん、統合失調症、HIV、ベーチェット病なども嗅覚障害を合併すると分かっており、この他に薬剤のいくつかも嗅覚障害を引き起こす可能性があります

喫煙も嗅覚に少なからず影響を与えます。 長期間にわたる喫煙は軽い嗅覚低下を引き起こし、そして喫煙することで嗅覚を回復しにくくさせます。食品の調理、腐敗、食思など食事関連で嗅覚障害による日常生活に及ぶ問題が多く、ガス漏れ、火災に気が付かないなど身に危険を感じるようなことや鬱など、精神状態への影響かでることもあります。

 

治療

 

治療方法の選択

副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎では炎症によって嗅覚障害が起こりますが、この場合、治療による回復の確率が非常に高いです。 病態は、におい物質が鼻の奥にある嗅粘膜まで到達できないことが考えられます。鼻内の炎症が長期間になると嗅粘膜にある神経も 一部が障害され嗅神経性嗅覚障害になります。治療は、抗炎症作用のある薬物治療となります。治療によって炎症が治まり、鼻内の気流が元に戻れば神経も回復する可能性が高くなります。
風邪ウィルス、頭部外傷や原因のわからない嗅覚障害は、嗅神経の回復を促す治療が主体となります。病態は、嗅神経性嗅覚障害や中枢性嗅覚障害になります。 残念ながら嗅神経障害に効果の認められる薬物治療は今のところありません。しかしながら、嗅神経は再生する能力があります。幹細胞レベルでの障害は不可能ですが、嗅神経が残っている場合は再生が期待できます。嗅神経の再生を促す方法として効果があると証明されている嗅覚刺激療法があり、症例集積研究では漢方薬の有効性も報告されています。
鍼灸治療
1)治療方針
鍼灸治療が効果的かどうかは、原因により異なります。呼吸性嗅覚障害の場合は、鼻の通りを良くすることで、嗅細胞にまで臭気を届けさせることを目標とします。つまりは鼻閉改善の治療をするということです。
2)治療内容
鼻腔と副鼻腔は三叉神経第1枝と第2枝により支配されています。とくに上鼻甲介付近の炎症や腫脹では、三叉神経第1枝(以後V1)が知覚支配しています。これを刺激すれば、交感神経を緊張させ、鼻甲介や鼻粘膜の血管が収縮するため鼻閉や鼻汁に対しても効果があります。
V1を刺激するには挟鼻、攅竹への鍼や上星のお灸が知られています。
①攅竹から睛明方向への水平刺
刺鍼:眉毛内端を取穴。左右2本の鍼を使用します。ある程度刺入していくと鼻に刺鍼側の鼻に響きがでます。深刺しすぎると鍼先は睛明に近付き、上眼窩内刺針と同様に内出血を起こしやすくなります。
印堂から鼻根に向けて刺入しても同様の効果がありますが両側に響かせるのは難しくなります。印堂には隔物灸もよく使います。
②挟鼻
刺鍼:鼻翼の上方の陥凹部で鼻骨の外縁中央に取穴し直刺します。
鼻毛様体神経:知覚神経で涙腺、鼻背、鼻粘膜に分布し、この鼻毛様体神経刺激によってワサビを食べると鼻がツーンとし、涙が出ます。
③迎香  →使用しない

回復の可能性

嗅覚障害の回復のしやすさは原因や病態によって異なります。副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎など炎症が副鼻腔にある場合には、 1、2か月ほどわで嗅覚が回復してくることがほとんどです。その一方、感冒後に起こる嗅覚障害や頭部外傷からの嗅覚障害など、原因が嗅神経障害の嗅覚障害は難治性になります。回復に1〜2年と長期間を要し回復の程度も満足いく程度まで回復しないことが多く気長な治療が必要です。

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