
「寒いから風邪をひく」わけではなく、「冷えたから風邪をひいた」「寒くて風邪をひいちゃう」これらは当たり前のように口にするフレーズです。しかし、風邪をひくのは寒い格好をしていたからでしょうか?もし、「寒いと風邪をひいてしまう」のなら、寒い地域や北国の人たちは、冬の間ずっと鼻を垂らしていることになります。
風邪ひきの一番大きい原因は免疫力の低下です
細菌やウイルスは、鼻や口から体内に侵入します。この侵入を防ぐ、または侵入した細胞やウイルスを攻撃して死滅させるのが免疫システムです。免疫力は体温と密接な関係があり、体温が一度下がるだけでも、免疫力は30%も低下するのです。
つまり寒いと体温が下がり、体温が下がることで免疫力が低下し、風邪をひいてしまいます。また、体温が低下すると血流も悪くなり、白血球の働きが悪くなります。そうなると細菌やウイルスの発見が遅れたり、発見できても攻撃力が不十分だったりで、死滅させられなくなってしまうのです。
寒いと風邪を引く原因として免疫力の低下以外には、空気が乾燥してしまうことによってウイルスの飛散量が増加することがあります。飛散量は湿度と密接に関係しており、湿度が高いと飛散量は少なくなります。
何故かというとウイルス中の水分が蒸発して比重が軽くなり、空気中にウイルスが浮遊しやすくなります。その結果、ウイルスは湿度の高い口腔や鼻腔の粘膜などといった湿度の高いところに付着します。
冬期以外では、大気中や皮膚表面の湿度も保たれているため、皮膚に付着したとしても体内には侵入しません。
しかし冬期は肌荒れを起こしやすいように、湿気が下がって粘膜が損傷し、亀裂が生じてしまいます。その亀裂からウイルスが体内に侵入すると考えられています。また、湿度が40%以下の乾燥した部屋だと、ウイルスは三十分間も漂っていると言われています。
そして冬期は交感神経が優位になります。優位になると、自己免疫の活動が低下することが知られていますが、その状態で寒い環境の影響で体温が低下すると、著しく免疫力が低下します。これがもう一つの、冬に風邪が流行りやすい原因です。また冬に入ったばかりの時期は、季節の変わり目から自律神経の働きが不安定になり、風邪をひきやすい大きな要因となるのです。